内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
とはいえ、二年間の交際を経て婚約に至ったのに、一度もデートしたことがないというのは確かに不自然だ。
「じゃあ、なおさら練習しておいた方がいい。婚約者をどこへも連れて行ってやらないんじゃ、周囲に甲斐性なしの男だと思われそうだしな」
デートの練習……それも、偽装結婚を叶えるためのステップのひとつなんだよね。
デートに相応しい服装もメイクも、当日どう振る舞ったらいいのかもまったくわからない私が妻じゃ、龍一さんに恥をかかせることになってしまうかもしれないし。
「あの、恐縮なんですが、デートについて一から教えてもらっていいですか? デートはおろか、仕事以外では友達と出かけた経験もほとんどなくて……」
「そうか。じゃ、食事が終わったら早速レクチャーしよう。勉強熱心なきみならすぐに〝正しいデートの楽しみ方〟を会得できる」
「ありがとうございます。よろしくお願いします!」
デートの練習も勉強や仕事と思えば、そこまで緊張せずに望むことができそうだ。
龍一さんが親切に偽装結婚までの道筋を示してくれるので、引っ越す前に抱いていた不安も次第に薄れていた。