内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「えっ?」
「びっくりするよね。二年間、誰にも内緒で付き合ってたから……」
「にに、二年!?」
目を見開いた霜村くんが、カチャンと箸を置いて激しくのけ反る。
あまりの驚きっぷりに周囲が何事かと私たちの方を見るので、居たたまれなくなって思わず口元に人差し指を立てた。
「わり、でかい声出して。にしても、まだ信じられないけど……」
霜村くんが広げた手で口元を覆い、眉根を寄せる。
「ううん、私こそごめん。いつもなにかと気にかけてくれる霜村くんにまでちゃんと話せてなくて……」
「それは別にいーけど、なんつーか……のんびりしてた俺、バカすぎる……」
ブツブツ呟きながら、テーブルに肘をついて頭を抱えてしまう霜村くん。急に顔色が悪くなった彼が心配になる。
「だ、大丈夫?」
「……いや、ちょっとダメかも」
「えっ? 医務室行く? 私、付き添うよ」
「うーん。でもこれは医者じゃ直せない痛みっつーか」
無理やり笑顔を見せる彼だが、どう見ても弱々しい。いつでも元気印の霜村くんなのにどうしたんだろう。
彼の丸まった背にそっと手を添えて、少しでも楽になるようにとさすり始めたその時だ。