内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「……かえり、まえのっていい?」
「もちろん。順番だもんね」
頷いて微笑みかけると、秋人はごしごしと手で涙を拭う。
とりあえず長男は気を取り直したようだ。あとは泣き虫の次男……。
「麦、帰りは後ろだよ」
「うぇ……っ、やだぁぁぁぁ」
麦人も順番だとはわかっているはずだが、今の状態では何を言っても無駄のようだ。
こんなと時はあきらめて、保育園の先生に託すしかない。私と別れて園に行ってしまえば気持ちの切り替えができて、意外とすぐ泣き止んだりするのだ。
「じゃあね、秋、麦、楓。ママ仕事行ってくる」
先生に抱っこされているがまだ涙目の麦、すっかりお兄さんの顔に戻った秋、そして「いってらっしゃい」と余裕の笑みで私を送り出す楓。三人の小さな手にそれぞれタッチして、今度は慌てて地下鉄の駅に走った。
三つ子を通わせている保育園は家からなら徒歩圏内だが、職場からは少し離れていて、これから地下鉄に四駅分乗るのだ。