内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
ちち、近すぎる……。
「あの、これはちょっと……人前で、恥ずかしいです」
湯気が出そうな顔で訴える。
龍一さんは焦ったように腰から手を離し、私から顔を背けた。
「そう、だよな……。すまない。不躾だった」
そらされた顔がどんな表情なのかはわからないが、耳のふちがほんのり赤い。
もしかして、龍一さんも照れてる……?
そう思うと、頬の火照りがますます収まらない。
「いえ、嫌だったわけではないのですが……やっぱり、手を繋ぐだけにしませんか?」
照れただけで、不快感を覚えたわけではない。それだけわかってほしくて、指先でちょんと彼の手に触れる。
龍一さんが困ったような目で私を見下ろした。
思わず手を引っ込めようとしたら、次の瞬間キュッと掴まえられる。そして、指同士を絡めて握られた。
腰を抱かれるより密着感はないものの、やっぱり恥ずかしい。繋いだ手を通じて、龍一さんにドキドキが伝わってしまいそうで。
「初めてだ」
「えっ? なにがですか?」
「……これしきのことで動揺するなんて」
そう言った彼は、なぜか睨むような目をして私を見る。
怒ってる……? 照れたり怒ったり、今日の龍一さんはよくわからない。