内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「す、すみません」
「別にきみのせいでは――いや、きみのせいだな」
独り言のように呟く彼の眉間には皺が寄っている。
とにかく私のせいで、彼になにかストレスを与えているらしい。
「あの、手を離した方がいいですか?」
「誰がそんなことを言った? あの七箇条を忘れたのか?」
「いいえ、でも龍一さんが怒ってらしゃるので……」
「……怒っているわけじゃない。戸惑っているだけだ」
彼はそう言うけれど、前を向く横顔はやっぱり怒っているように見える。
とりあえず手は繋いでいて構わないらしいので、彼に手を引かれるまま表参道の並木道を歩いた。
「いらっしゃいませ」
上品な女性店員の声に出迎えられてやってきたのは、店内がゴールドの色味で統一され、ショーケースの中にまばゆいアクセサリーの数々がきらめくジュエリーショップ。
ブランドなどよく知らない私でも耳にしたことのある、海外発の高級ブランドの直営店だった。
婚約指輪を見る予定だとは聞かされていたので、そのためだろうと察する。