内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「よく似合ってる。このまま着けていきたいのですが」
「承知しました。お渡しの前に再度傷の有無など確認させていただきますので、一旦外させていただきますね」
なにも言えずに龍一さんと店員とに流され、ネックレスの購入が決まる。
そのまま指輪のサイズも測られて、龍一さんは目を疑うほどの大きなダイヤが付いたエンゲージリングの予約を済ませた。
買い物が済むと、いかにも上客を見送るような感じで数名の店員に丁寧に見送られた。
龍一さんが支払ったとはいえ、こんなにポンポンと高価な買い物をするのは初めてで、店を出たにもかかわらず、キラキラした空間から抜け出せていないような感覚が続いている。
龍一さんは歩きながら、放心状態の私の顔を覗いて苦笑する。
「あまりうれしそうじゃないな」
「う、うれしいはうれしいです。分不相応な気がしているだけで……」
こんなことを言ったら、また叱られるだろうか。だけど、何でもない日に高価なアクセサリーを贈られるなんて初めてなのだ。パニックになるのも許してほしい。
「婚約指輪ができるのはまだ先だから、とりあえずそれを毎日着けておくんだ。もちろん会社にも」
「えっ。会社にもですか……?」
さっきはデートの間だけと言っていたのに、話が違う。