内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「嫌なのか?」

 探るような目で見下ろされ、瞬時に首を左右に振る。

 決して嫌なわけじゃない。さっきも言った通り、うれしいのだ。

 でも、だからこそ、会社には着けて行きたくない。

「初めていただいたプレゼントなので、汚したり、壊したりしたくないんです。こうやって龍一さんと出かける大切な日だけ着けるのでは、ダメですか?」

 鎖骨の窪みで控えめに輝く星にそっと触れながら、彼を見上げる。

 毎日着けて行けというのは、私たちの関係が本物だと周囲に信じ込ませるためだとわかっているけれど……彼が流星モチーフを選んだのは、私の好みを考慮してくれたからだ。

 そうなると、ネックレスがただの〝道具〟だとは、私には思えない。

 愛する恋人に贈るプレゼントとは違うにしろ、この小さな星に彼のちょっとした優しさが溶けていると思うと、なんだか特別なもののように感じるのだ。

「きみはまたそうやって……」

 龍一さんはぽつりとそう呟いた後、深いため息をつく。そうやって、の続きが聞きたくて耳を澄ませていたものの、彼がその先の言葉を継ぐことはなかった。

 店に入る前と同じようにつないでいる手をきゅっと握り直し、私を見下ろす。

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