内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「……すまない。単なる出来心だ」

 龍一さんが伏し目がちにそう言って、外したネックレスを私の手に握らせる。

 激しく高鳴っていた胸に、微かな痛みが走る。

「出来心……」
「いちいち深く考えなくていい。俺は部屋にいるから、シャワーから上がったら呼んでくれ」

 龍一さんは一度も目を合わせず、スッとソファから下りてリビングを出て行ってしまう。

 ドアが閉まった音を聞くと、私は思わず自分の胸に手をあてた。

 彼はそばにいないのに、まだドキドキしている。

「私、まさか……」

 ある予感に気づいて、キュッと唇を噛む。もしそうだとしても、この気持ちを表に出してはダメだ。

 私たちが目指すのは、互いに依存しない偽装夫婦。

 余計な感情を挟むのはご法度なのだから。

 そう自分に言い聞かせ、手の中にあるネックレスを見つめる。

 どうか、この気持ちが恋心ではありませんように。

 泣きたいような気持ちで、小さな小さな流れ星に祈った。


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