内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
偽りと本音の狭間で――side龍一
「とても緊張しましたが、ご両親が優しい方たちで本当によかったです」
昼間のうちに俺の実家へ挨拶に行った日の夕食時。テーブルの反対側に座る真智がのんびり緑茶を啜って言った。
実家で出された料理はそれほど食べていなかったのに、このマンションの一階に入っている和食レストランでテイクアウトした弁当は、ぺろりと平らげた。よほど緊張していたようだ。
「きみが勉強熱心だというのが両親にも伝わったんだろう。まさか、実家で新商品のプレゼンが始まるとは俺も思わなかったが」
「プレゼンをしたつもりではなかったんですけどね」
眼鏡の奥にある、元々垂れ気味の目尻を下げて、真智が苦笑する。
基本的に年齢より幼く見える顔立ちだが、最近メイクが上達したのか大人っぽくなってきた。
今日の彼女は落ち着いたオリーブ色のシャツワンピースを身に着けているせいもあるのか、一段と女性らしい美しさに磨きがかかっている。
「結果的にそれが功を奏した。きみの真面目さを気に入った俺が熱烈に求婚したのだと、父も母も納得してくれたようだからな」
「心臓には悪かったですけどね。龍一さんが会話の途中で急に肩を抱いたりするから……」