内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
石狩さんは直属の上司なので妊娠や出産をごまかすわけにもいかず、こちらの状況はすべて知っている。三つ子の父親が龍一さんだということも。
だから心配してくれているようだ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、話すことはありません。私はあの子たちをひとりで育てるって決めたんです」
「しかし、お姉さんの協力あってのことだろう。お姉さんが結婚する、あるいは仕事で遠方へ引っ越す、そんな事態になったらどうする?」
「それは……っ」
反論できずに口ごもる。
確かに、姉の協力がなければまだ小さな三つ子を育てるのはかなり難しい。ただでさえ看護師の仕事で忙しい姉に負担をかけている自覚もある。
「俺は独身だからいつ野垂れ死んでも誰も困らないが、お前が倒れたら三つ子との生活は詰むだろ。たとえばお前が病気で倒れた時、お姉さんが仕事だったらどうする? 子どもたちの安全は誰が確保する?」
部長の言い分がどれも正論なので、思わず目を逸らしてしまう。
私が倒れたら……麦は泣くだろう。秋だって。楓人だってああ見えてまだ二歳半だ。唯一の保護者である私が頼れなくなったら、不安で仕方なくなるに違いない。