内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
寄り添う心
基本的に人見知りの私は、同期の飲み会でもあまり周囲のノリについて行けず、ひとりでちびちびとお酒を飲んでいた。
小峰さんや霜村くんも参加しているが、彼らは常に話題の中心にいる。
龍一さんが反対してくれれば来なかったのに……なんて勝手なことを思い、自己嫌悪になった。
幸い料理の美味しいお店だったので、皆の会話に笑って相槌をうちつつ食事を楽しむことに徹して、およそ一時間。私はひとりでトイレに立った。
用を足し、軽くメイクを直して個室に戻ろうとしたら、トイレの外に霜村くんが立っていたので驚いた。男子トイレは反対方向にあるのに。
「霜村くん、どうしたの?」
「……いや、小峰にけしかけられて、さ」
「けしかけられた?」
彼らしくない歯切れの悪い言い方に、どことなく嫌な予感を抱く。
小峰さんにけしかけられたということは、もしかしてまた例のテストでカンニングをしたという話じゃないだろうか。思わず体を固くしたその時だ。
「俺、好きなんだ、羽澄のこと」
短く息を吸ってから、まっすぐこちらを見据えて霜村くんが言った。