内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「えっ?」
霜村くんが、私を……?
予想だにしなかった発言に、目を瞬かせる。確かに彼はいつも親切にしてくれるが、それは彼自身の人柄によるものだと思っていたから。
「だから、やっぱり納得できないんだ。専務との結婚のこと」
唐突に龍一さんの話が飛び出し、ドクッと心臓が跳ねた。
霜村くんにも交際期間は二年という話はしたし、偽装の関係だとはバレていないはず。
そう思っていたのに、どうして……。
「俺は羽澄が幸せならそれでいいって思ってたんだ。でも小峰は、前から付き合っていたなんて嘘っぱちで、研修の時の成績でお前が結婚相手に選ばれたんじゃないかって言うんだ。それで俺も、あの日の記憶をよく思い出したらさ……やっぱり、あん時の羽澄と専務が付き合っていたようには、どうしても思えなくて」
そういえばあの研修の時、霜村くんは突然龍一さんに誘われた場面をすぐそばで見ていた。あからさまに動揺する私の様子も。
本当は、このまま嘘をつき通した方がいいのかもしれないけれど……正直に自分の気持ちを伝えてくれた霜村くんを、これ以上だまし続けたくない。
きゅ、と下唇を噛んでから、私は意を決して顔を上げた。