内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「誰にも言わないって、約束してくれる?」
「ああ。ってことは、やっぱり……」
「厳密に言えばテストの成績だけで選ばれたわけじゃないけど……二年も付き合ったとかそういう話は、後付けなの。お互いの利害を考えて、偽装夫婦になろうって約束で」
「偽装夫婦?」
眉根をぎゅっと中央に寄せた霜村くん。私はこくんと頷いて、小さく笑った。
「私にとっても悪くない話だったからうまくやれると思ったし、実際、最初はうまくいっていたの。でも、私が……」
誰にも話したことのない心の内を明かすのは、勇気が要った。
口にしたら、余計に龍一さんへの想いが溢れてしまいそうな気もした。
「好きに……なったんだな。専務のこと」
言葉を継がない私を見かねたように、霜村くんが呟く。無言でうなずいた私を見て、ふっと笑った。
「そうか。好きになっちゃったもんはしょうがねえな」
「ごめんなさい……」
「謝るなって。先手打っとかなかった俺が馬鹿なんだし」
明るく笑ってくれる霜村くんに救われる。それから彼は不意にまじめな表情になり、私に一歩近づいた。