内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「あら、意外と冷静ね。昔は結構彼女のこと気にしていたのに」
「うん。……あの時は妊娠してたし、ちょっと情緒不安定だったからかも」
当時の気持ちが続いていたなら、もしかしたら『ざまみろ』と思ったかもしれない。
けれど、あの頃から時間が経っている今、小峰さんなんてもはやどうでもよい存在へとなり下がっている。
彼女のあまりにお粗末な振舞いを、ただ残念に思うだけだ。
「もしかして、後悔してる? 龍一さんと別れたこと」
「えっ?」
「だって、この彼女がライバルでもなんでもなかったなら、真智が身を引く必要はなかったわけでしょ?」
姉の問いかけに、目をぱちくりさせる。
確かに、そういうことになる、のか……。
彼が海外へ発ってすぐの妊娠、しかも三つ子。その不安に押しつぶされていたあの頃は、龍一さんを信じようという気持ちにどうしてもなれなかった。
真実を確かめる勇気もなく、ただ彼の前から逃げることを選んだ。
……でも、それは間違っていた?
「ママぁ」
その時、キッチンの入り口に取り付けてあるベビーゲートの前までやってきた麦が、私を呼んだ。
「ん? どうしたの?」
「つぎ、ちゃちょーのだっこ、ムギだよ。じゅんばん」
「麦……」