内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
かわいい信号機に挟まれてーーside龍一
「よかったじゃないか、とりあえず話ができそうで」
「ええ。でも、まさか三つ子を育てていたとは……」
三つ子と対面してから数日、たまたま会社のエントランスで一緒になった石狩さんに、その件を報告した。
今度は真智とふたりきりでゆっくり話す約束をしているが、お姉さんの仕事の都合もあり、時間を作れそうなのはゴールデンウィークに入ってからだそうだ。
平日の夜はと提案してみたが、三つ子の世話でそれどころではないらしい。
そうした事情を察せない俺は、育児の大変さというものがちゃんとわかっていないのだろう。
「俺も黙ってるのは心苦しかったが、泣きごとも言わずに踏ん張って仕事と家庭の両立させる羽澄見てたら、お前より彼女の方を応援したくなっちまってな」
「ありがとうございます。真智もきっと救われていたはずです」
「俺は大したことしてない。それより、さっさとお前が自分の力で助けてやれよ。じゃあまた」
「ええ。今日もよろしくお願いします」
石狩さんに挨拶をして、先に到着した高層階用のエレベーターに乗り込む。
扉が閉まる寸前、たまたま一緒に乗り込んできた相手が俺の顔を見て深々と頭を下げた。