内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
中でも、シンガポールで借りているマンションまで押しかけてきて部屋に上がろうとされた時には、寒気までしたほどだ。
もちろん玄関前で追い返したが、彼女はその後も部屋の前をウロウロしてはドアを叩いた。
いっそ警察を呼ぼうかとまで思い始めていた時に真智から電話がかかってきて、深く安心したのを覚えている。しかし、小峰はそんなことお構いなしだ。
『専務~、開けてくださいってばぁ』
真智との電話を邪魔され、怒りのボルテージが上がる。
その上、真智にも微かに彼女の声が聞こえたらしい。
「龍一さん、今……女の人の声がしませんでした?」
すぐに会いに行けない距離にいる今、余計な心配はかけたくない。それに、俺にとって小峰詩は〝女〟ではない。
そんな皮肉も込めて、つきまとわれている苛立ちを隠さずに言った。
『女? 盛りのついた猫の声とでも聞き間違えたんじゃないか?』
そんなことより、真智の話が聞きたい。
今日はなにを思い、こうして俺に電話を掛けてくれたのかと。