内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 しかし、真智は疲れていたらしく、ゆっくり話せないまま通話は終わってしまった。そばに行けない自分の状況を歯痒く思っているうちに、ある日突然真智と連絡が取れなくなった。

 俺はすぐに、小峰を疑った。

『真智になにかしたか……?』
『えっ? なんのことですか? なにかしたくたって、私はこうしてシンガポールにいるじゃないですか』

 直接問いただしてみても、彼女はあっけらかんとそう言い放つだけだった。

 彼女の言う通りなのだがどこか腑に落ちず、いっそ休日に日本へ一時帰国しようと考えていた時だった。

 彼女がSNSに投稿する写真に妙なものが交じっていることに気がついた。

 俺は彼女と個人的に食事をした覚えも褒美を与えた覚えもない。

 にもかかわらず、『上司のFさんからのご褒美♡』という文言が、カニの写真の下に踊っていた。

 真智はもしかして、この投稿を見たのか……?

 確かめたくても、すでに彼女とは連絡が取れない。共通の知人である石狩さんに仲介を頼もうと連絡してみたが、なぜか断られてしまった。

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