内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「ママ……」
ぽつりとそう言った麦人が、ぐすっと鼻を鳴らす。
ママと寝たい……そういうことなのだろう。
まだ二歳だものな。知り合ったばかりの俺より、大好きな母親と寝たいに決まっている。
その気持ちはわかるのだが、解熱剤が効いて安らかに眠っている真智を起こしたくはない。今夜だけ何とか、一緒に寝てもらえないだろうか。
かける言葉を探していたら、今度は別の場所からもすすり泣きの声が。
「ママぁ~……」
今度は秋人だった。泣き顔を見られたくないのか、うつぶせになって、枕に顔をこすりつけている。すると相乗効果が起きたように、麦人の泣き声も大きくなる。
「ママ、いっしょねるぅ……わぁぁん」
「ふたりとも、なかないでよ、うっうっ……」
最終的には楓人もしくしく泣き始めてしまい、俺はオロオロするばかり。
とりあえず三人を呼び寄せてギュッと抱きしめ、ここは真智の力を少し借りることにした。
「ママはお熱だから一緒の布団では寝られないけど、あっちのお部屋に布団を持って行こう。そうすれば、見たい時に顔が見られるし、寂しくないだろ?」
一番に頷いたのは、強がりの秋人だ。
ふたりもそれに習うように頷いて、なんとか泣き止んでくれた。