内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 出勤や保育園の準備もあったため、その日は結局龍一さんと話ができずに終わってしまった。

 けれど、彼が子どもたちと真摯に向き合ってくれたことで、心の迷いが晴れた気がする。あとは本当に、お互いの気持ちを確認するだけだ。


 間もなく五月の大型連休がやってきて、龍一さんとの約束の日を迎えた。

 三つ子を見る姉も大変なので、ほんの二時間のランチ。ビルに囲まれていながらもガーデンテラスに緑がたっぷりの明るいレストランで、窯焼きピザが食べられるコースを龍一さんが予約してくれた。

 料理を待つ間、さっそく彼が口火を切る。

「まずは、謝らなければならない。……小峰詩のことだ」

 ドキリとはしたが、必要以上に動揺はしなかった。先日のニュースで、彼女の本質がようやくわかったからかもしれない。

「彼女はSNSで思わせぶりな投稿をしていたようだし、シンガポールでは常に俺に付きまとっていた。だが、誓って深い関係などではない。もっと言わせてもらうなら、俺はそんな悪趣味ではない」

 彼らしからぬ毒を吐いたのが予想外で、クスッと笑ってしまう。

 あの当時だってちゃんと話をしていれば、同じ言葉が聞けたかもしれないのに……あの頃の私は本当に未熟だった。

 もちろん、妊娠して不安定になっていたせいもあるけれど。

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