内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「痛いの痛いの飛んでけ、する?」
「する」
「痛いの痛いの、飛んでけ――」
「あっ、ムギ! ずるい! だっこ!」
おまじないの途中でリビングから現れたのは、剣のおもちゃを手にした長男の秋人だ。
顔は麦人とそっくりだが、性格は真逆のやんちゃな子。麦人がこうして私に甘えていると、すぐにやきもちを焼く。
「待って、秋は抱っこより先に麦に謝らなきゃだめでしょう?」
「やだ! だっこ~!」
次第に秋人の目まで赤く潤み始めたので、仕方がなく麦を下ろして秋人の前にしゃがみ、目線を合わせる。
「ちゃんとごめんねして。麦、手が痛いって」
「……よわむし」
「あーきーとー!」
「ぶつかった、だけだもん……うえぇぇん」
きみまでなぜ泣くのよ……!
天を仰ぎたくなりつつも、根気よく秋人と麦人の気持ちを聞いて、喧嘩の発端は麦人が秋人の並べていたおもちゃの位置を勝手に変えてしまったことにあると突き止めた。
秋人はそれにカッとなって、麦人の手を剣の先でこつんとやってしまった、ということらしい。