内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「お、同じホテルなんですね……」
「あたり前だろ。費用は同じ会社の懐から出ているんだから」
和食のコースを堪能し、岡山駅に近いシティホテルに到着したのは午後九時過ぎ。専務にお礼を言ってタクシーを降りると、当然のように彼も一緒に降りたので驚いてしまった。
「てっきり、格上のホテルにお泊りになるのかとばかり」
揃ってフロントに向かいつつ、彼を見上げる。食事中に飲んだお酒の効果で少し気が大きくなっているらしく、頭に浮かんだ言葉がそのまま口から出た。
「ひと晩体を休めるだけなんだから、シャワーとベッドがあればいい。ただし俺の身長ではスタンダードルームのベッドが窮屈だろうと、気を利かせた秘書がエグゼクティブルームを押さえてくれたらしいが」
「えぐぜくてぃぶ……」
少し飲みすぎただろうか。ろれつがうまく回らない。
頭もなんとなくぼんやりして瞬きを繰り返していると、専務が小さくため息をついた。
「その辺に座って待っていろ。きみの部屋のキーももらってくる」
「きょ、恐縮です……」