内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「Sparcilの専務……。降矢龍一さんって言うんだけど、創業一家の血筋で、現社長のひとり息子なの。将来的には次期社長になることが決まってる」
「そんなすごい人が、どうして真智と偽装結婚なんてするのよ。親のコネとかで、お金持ちのお嬢さんと政略結婚するならまだわかるけど」
姉の指摘はもっともだが、私に聞かれても困ってしまう。
とりあえず、研修でのテストの結果が評価されたことや、彼が現在置かれている状況をありのまま伝えた。
「恋愛より仕事を優先する人だから、自分に好意がない女性の方がいいらしいの。半年後には単身でシンガポールに渡って、三年間帰ってこないみたい。だから、お母さんの件もあって自立心が強い私なら、偽装結婚の相手に適任だと思ったみたい」
「なるほどねぇ……。御曹司も大変なんだ」
「うん。結構、切実に困ってるみたいだった。そうじゃなきゃ私みたいなのを選んだりしないよ」
専務が見た目も生きざまも地味な私を選んだのは、半年後に海外出張が迫り追い詰められた末の苦渋の決断に違いない。
迷っている時間もなく、たまたまテストの成績が良かった私が目に留まったという感じなんだろう。