【完結】「暁光の世から消えて死ね」 〜教会を追放された見世物小屋の聖女は、イカれた次期覇王の暫定婚約者になる。(※手のひら返しで執心されています)〜
「つまり、運河に飛び込み流れに流れて帝国に来たと?」
「流れ着いたのは、西華国です。そこで拾われて、帝国まで運ばれました」
「……西華国の連中とは何かと交流がある。商団として闇使いが管理する道を抜けられれば国境越えは可能だ。が、教国から西華国へはどういう原理で流れたんだろうな」
大地と同じように、水中にもクロバナの蔦は広がり、国と国の往来を阻んでいる。
そのため、川を流れて国境を越えたというのは事実上不可能だ。
「ごめんなさい、わかりません……もう、ずっと前の話なんです。その時のこともあんまり覚えていなくて」
「……そういや、お前。歳はいくつだ」
「15です」
「な……に?」
ダリアンはぴしりと固まり、無言になる。
それから小声で「多く見ても12歳やそこらだろう」とつぶやいた。
シャノンが見世物小屋に連れて行かれたのは、いまから四年前のこと。
見世物小屋の男はシャノンが反抗しないようにと最低限の食事しか与えていなかった。その最低限の食事も自分より小さな子供に分けることがしょっちゅうだったため、シャノンは実年齢よりかなり幼い見た目をしていた。
久しく自分と同年代の少女を見ていないので、自分がどれほど平均と違うのか認識が甘いが、ダリアンの反応を見る限り相当なのだろう。