【完結】「暁光の世から消えて死ね」 〜教会を追放された見世物小屋の聖女は、イカれた次期覇王の暫定婚約者になる。(※手のひら返しで執心されています)〜
11話:聖女のなかの気づき
その後、シャノンは護衛の双子を連れて無事に養護施設に到着した。
ヴァレンティーノ家から支援を受けているだけあり、管理がしっかり行き届いた施設だった。
「シャノンおねえちゃん!」
「おねえちゃんっ」
「みんな、久しぶりだね……!」
見世物小屋にいた子供たちは、手足が欠損していたり、珍奇な姿をしている者が大半だった。
シャノンを拾った男は、それを見せびらかすことで商売をしていたのである。シャノンは安堵した。心に大きな傷を負った子供たちが、いまこうして笑えている事実に。
「ずっとおねえちゃんに会いたかったの!」
「あのね、いつもご飯をわけてくれて、守ってくれてありがとう」
「おねえちゃんがいたから、みんな一緒に笑っていられるんだよ」
「みんなが元気そうで、本当によかった」
子供と接するシャノンを遠目に見守っていた双子は、どうにも解せないのか二人でコソコソ話していた。
「……変なの。どうして赤の他人の子供をそこまで心配できるの?」
「ヨキにもわかんない」
「みんな等しく親切にってやつ? シャノン、聖女だもんね」
「ハオ、ヨキ」
一人一人の子供たちと対話を済ませたあと、つまらなそうな双子の様子に気がついたシャノンが、そっと二人に近づいていく。
「ここまで連れてきてくれて、本当にありがとう。おかげでみんなに会うことができたよ」
シャノンが本当に嬉しそうに笑うので、双子は揃って口を噤んだ。
「二人とも、どうしたの?」
「さっきヨキと話してたんだ。どうしてシャノンは、赤の他人をそこまで心配できるのかなって」
「やっぱり、聖女だから〜?」
「聖女、だから……?」