【完結】「暁光の世から消えて死ね」 〜教会を追放された見世物小屋の聖女は、イカれた次期覇王の暫定婚約者になる。(※手のひら返しで執心されています)〜
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シャノンは月の巡りというものを詳しく知らなかった。
けれど、マリーから説明を受け理解すると、孤児院時代のシスターの顔が思い浮かんだ。
朧気だが、だいぶ昔にシスターから軽く教えられたような気がする。お腹を押えて辛そうにしてるところを見かけ、心配になって聞いてみたことがあったのだ。
「初めての月の巡りで驚かれたでしょう。個人差はありますが、だいたい三日から七日ほど今の状態が続きますので、お辛かったら無理せず横になっていてくださいね」
マリーも、そのあと部屋にやってきたサーラも、実に慣れた様子で寝台を整え、身支度も済ませてくれた。
戸惑うシャノンにとても分かりやすく丁寧に教えてくれたので、混乱することなく自分の状態を知ることができた。
「女性は皆が通る道なのですよ。いつの日かお腹に赤ん坊を宿らせるための準備を始めてくれているのです。帝国貴族の子女ですと、密やかに実母や乳母からお祝いのプレゼントを送られることも多いようです」
「平民間ですと、その日の食事はいつもより豪華になりますね」
「へえ……」
自分の身に起こっていることだというのに、まだ現実味がなくてぼんやりとした返事をしてしまう。
月の巡りが始まると、徐々に女性らしい体つきに変わっていくという話だが、それは本当に自分にも当てはまるのか気になった。
気になったので――シャノンは自分の事情を知る人物に聞いてみることにした。