初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 婚約者か。まだ婚約はしていないけれど、そう思われているのね。嬉しいやら恥ずかしいやらで……戸惑ってしまう。というかニヤけちゃう。


「ジルベルト様、どう?」

 ギョッとした顔をしてそれからすぐに顔を赤くして背を向けた。

「ジルベルト様?」

「……そんな刺激の強いドレスは却下! オフィーリアの白くて綺麗な足を他の男に見せたくない。ロング丈でお願いします!」

 デザイナーさんにジルベルト様が強く言った。

 軽やかで悪くないと思ったんだけどな……流行っているし。なんで胸元をはだけていてもOKなのに足元はダメなのかな……暑い日は大変なんだけど。それなら私もスラックスを履きたい……

 何着か試着用のドレスを出してきてくれて、ジルベルト様の瞳の色であるブルーを選んだ。すると着て見せて欲しい。と言われたのでデザイナーさんのオススメを試着してみた。

「ジルベルト様、どう?」

 ギョッとした顔をしてそれからすぐに顔を赤くした。あれ? 見覚えのある感覚だわ。

「ジルベルト様?」

「……そんな刺激の強いドレスは却下! 直視出来ないっ!」


 肩が出ているから? 胸元は首飾りをつけるから開いているデザイン。ってそんなに開いてないけれど。


「お嬢様はスタイルがよろしいので、ほんの少しラインを見せる形でもよろしいかと、」
「却下! 他の男に見られると思ったら居ても立っても居られない……露出が少なく尚且つオフィーリアの可憐で清楚で可愛い所を……いや、あまり可愛すぎても困る……」

 難しいオーダーだ。


 沈黙……を破ったのはデザイナーさん。

「……お嬢様はどのようなドレスがよろしいですか? お嬢様の意見を聞かせてください」

 ジルベルト様は一旦放っておくことにした。

「軽くて、動きやすくて、疲れないドレスが良いですね。誕生日会なので適度に華やかな感じでお願いします。丈はくるぶしにします」

 ロング丈は無理! 暑いし汚れるし踏んじゃう。階段とか躓いて転んじゃうから。

「……今週中にデザイン画を数点書き上げますので、その時にまた」
「間に合うかしら?」
「間に合わせてみせます。ただ早めに取り掛かりたいので……」

「分かりました。お願いします」



 ジルベルト様に次に連れてこられたのは宝石店だった。今日は詰め込む日なんだそう。時間が無いからね。
 
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