初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「こんな所に連れてきて一体何の用事?」

 裏庭に連れてこられた。朝から裏庭に生徒は来ない為人目につかない場所だ。

「君には先日注意したはずだ! オフィーリア・カルメル嬢にちょっかいをかける事は禁ずると! フェロウズ公爵令嬢と親しくしているからといって、休日にオフィーリア・カルメル嬢を独占するとは何事か!」

 買い物を見られていたのか。別に良いけど。隠すつもりもない。あれはデートだ。


「聞く所によるとドレス店や宝飾品店へ行きオフィーリア嬢を物で釣っていると、」
「はぁ? オフィーリアは物で釣られるような令嬢ではない! オフィーリアを侮辱するのは許さない」

 聞き捨てならない! オフィーリアは物をねだった事なんて今まで一度もない!(サツマイモは別だ)逆に買い与えたいくらいだ!

「それに僕は君たちの言う“抜け駆け禁止”という意味のわからない条約に了承したつもりはない。好意を持っているなら正々堂々と戦うがいい! 言っておくけれど僕はオフィーリアが大好きだし本人にも伝えてある」

「何だって!」

「君たちも釣書を送ったりしたのだろう? それで断られたのなら諦めれば良いものを団体で見守るだなんて気色の悪い……話が以上ならここで失礼する」

 待てだの、話の途中だのと言っているが放っておこう。そんな事をぬかしても来月には諦めるだろう……婚約者同士の間に割って入るのは御法度だし、的外れな婚約破棄にもペナルティがついて回る。

 僕は正直言ってラッキーだ。フローリア嬢のおかげで知り合いになれてルシアンも協力してくれた。サツマイモを我が領地で育てていたというのも大きな幸運に繋がった。オフィーリアと気持ちが通じたのだから僕は何が何でもオフィーリアを幸せにすると決めた。

 校舎に向かっているとオフィーリアが登校してきたようで声をかけられた。

 
「ジルベルト様! おはよう。良い天気だね」
「おはよう。オフィーリア一人?」
「うん」
「教室まで送るよ」

 オフィーリアのカバンを奪い自分のものと二つ持つ。

「今日は教科書が多くて重いよ、自分で持つからいいよ!」
「これくらい大した事ない。僕は意外と力持ちなんだよ」

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