初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
ジルベルト様が迎えに来てくれます
「おはよう、オフィーリア」
「おはよう。ジルベルト様、わざわざ迎えにきてくれなくても、遠回りになるでしょう?」
ジルベルト様の家からうちに迎えに来る事になると学園へ行くには遠回りになる。逆にうちの馬車でジルベルト様を迎えに行ったほうが良いような……
「全く問題はありません。御者には特別手当を渡しているから喜んで来ているくらいです。御者の家には子供が産まれて収入が増えるのは喜ばしいことなんです」
そんな事情があるとは……それなら可愛げのないことを言うのをやめてお言葉に甘えよう。やたらと説明口調なのは置いておこう。
「それなら遠慮なく、ありがとうジルベルト様」
「どういたしまして。僕も一緒に通えるのは嬉しい」
今日もジルベルト様はカッコいいわ。学園に着き馬車を降りると何故か注目されていた。
……くっ。見たくなかった。
……ぐやじぃ。僕がもっと強ければ。
……無念だ。
……やりやがったな、くそぉ
……婚約したって本当なんだね、手を繋いでいるわ。
……オフィーリアさんが婚約してくれたから、ファンの子息たちはコレで諦めるね!
……貴女の気になる子息がオフィーリアさんのファンだから? 良かったね。
……ロワール子息があんなイケメンだったなんて、令嬢たちは皆、悔やんでいるわよね。まぁ、悔いてももう遅いわよ。
子息と令嬢たちがそれぞれざわついていた。
「なんだか……視線を感じるわ」
「放っておけばいいよ」
ニヤリと笑うジルベルト様。何か良からぬことを企んでいないよね?
「おはよう二人とも。手なんて繋いで仲の良さをアピールしているのか?」
え? 手つないでたっけ? って繋いでる!
「あ、あれ、いつから繋いでいたの。恥ずかしいわ」
手を繋いで気が付かないことってある?
「あれ、カバン……」
「僕が持っているよ」
は! カバンとジルベルト様の手がごっちゃになっていたわ! 焦って手を離そうとしたけれどさらに強く握られてしまったわ!
「はははっ。ジルベルトの新たな一面を見た。オフィーリア諦めな。ところで昼は一緒に食べられるよな? フローリアが寂しがる」
「それはもちろんご一緒します。ね、ジルベルト様」