初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 教師がグレイヴス子息を連れてきた。


「勝負あり。ロワール子息が勝者だ。よって勝者の言い分を聞くように! 以上だ。これ以上騒ぎを起こすなよ。勝負は着いたんだからな! 二人とも男らしく潔く相手を讃えろ!」

 と言って教師は戻って行った。なんだかんだと面倒見がいい教師だ。

「そういう訳でグレイヴス子息はオフィーリアに今後一切関わらないで貰います」
「……分かってる」

「そこそこ強かったですね。木刀を落としてからは驚くほどの瞬発力もありました。剣術は誰に習ったのですか?」
「自己流だ」


 ……あぁ。なるほどね。

「それは勿体無いですね。今からでも遅くないですよ、騎士団に入団してみては? 人気の高い職業ですから強くなればなるほど収入も高くなりモテますよ」

「騎士団か……どうせうちくらいの家だと出世は出来ないだろ」
「近衛に入団すればいいんですよ。顔が良いんだからそれを武器にすれば良い」

 近衛は国の顔みたいなもの。王族の周辺を警護するのは花形だろ? それに顔面偏差値も高い。


「うちは子爵家だ!」
「子爵家でも男爵家でも、顔が良くて強くて実力があれば誰も何も言いませんよ。高位貴族で強くないけれど近衛にいるだけの人間も居ますからね。もし本気で考えているのなら口を利いてあげても良いです。今の生活を正し、己の評判を正す良いチャンスですよ。このままだと先は思いやられますよ」

 そもそも人の力を借りて悪い評判を消そうなんて、そうは問屋がおろさない! 自分でなんとかしろ。


「……そう、だ、な」
「来月試験があるので、行ってみれば? 負け癖はつく物ですから期待はしていませんけどね」

 それだけ言って僕はオフィーリアの元へと戻る。確かテラスでスザンナ嬢とお茶をして待っていると言っていたな。来月の試験にあいつ(ハリー)は必ず来るだろう。
 もう後はないもんな……それに鍛えたらそこそこ? 使えそうだし、顔だけは良いから近衛の制服が似合いそうだ。

 どの隊に入るかで全く違うのだが、受かったらまずは厳しい隊に入れて欲しい。とだけ頼んでおこう。使えるものはなんでも使わないと。王太子としては将来()()()有能な部下が出来るのだから、喜んで話を付けてくれるだろう。

 一件落着だな。





「オフィーリア、待たせたね」

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