初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 教会といえばステンドグラスを見たことがあったわね。この町を見てお花を植えたいと思ったのよね。教会に着くと数人の人が居て今から片付け始めるとの事で、箒と塵取りを渡された。

「全くお嬢様は……」
「本当ですよ」

 メイドと護衛はぶつぶつと言いながらも手際よく掃き掃除をしていた。一時間ほどしてふと気がつく。

「そろそろ宿に戻らないとリューや先生に怒られそうだわね」

 箒と塵取りを返しに行った。すると神父様に声を掛けられた。

「ありがとうございます。あなた方はこの町の人ではないのに、申し訳ありません。おかげ様でキレイになりました」


「こちらこそ、昨日はとても楽しみました。感謝の気持ちで掃除を少しお手伝いさせてもらいました。以前こちらの教会も見学させてもらいましてこの町がとても好きになりました」

 よく見たら以前声を掛けてくださった神父様だわ! これも何かの縁かも?

「……あぁ! あの時のお嬢さんでしたか。覚えていますよ。またこの町に訪れてくれたのですね」

 覚えていてくれたみたいで嬉しいわね。でもそろそろ時間が……

「はい。また寄らせてもらいますね。そろそろ戻らないと弟に怒られてしまいますので失礼しますね」

 急いで宿へ戻る。案の定リューに怒られた。勝手に散策に行くな。ですって。誘って欲しかったのかもしれないわね。この町を出る前にお花柄の手鏡をお土産に買った。あー楽しかった!



 ******

「ここも綺麗になったね」

「ジル様、お疲れでしょうに見回りですか?」

 教会もキレイになったな。朝早くの清掃はとても気持ちがいい。空気もキレイだし早朝は涼しく活動しやすい。

「フラワーシャワーは美しくていいけど片付けが大変だな。雨が降らなくて良かったよ」

 雨が降ると片付けは大変だ。花びらが地面にくっつき取れなくなる。

「はい。先ほど観光に来ていた方も掃除を手伝ってくださって……以前いらした多分貴族のお嬢様だと思われる方でした。ジル様もお会いしたと思います。可愛らしいお嬢さんでしたから覚えていませんか?」

 ……昨日パレードに来ていた子はやはりあの子だったのか! すごく楽しんでいる様子だった。バルコニーから見ていたから確信はなかった。



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