初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「そんな事を気にする年頃になったのね。昔は婚約の話も出ていたのに」

「……もしかしてくっつけようとか思ってない? 迷惑だからやめてね」

「そういうつもりじゃないわよ。リューも行かないの?」

 私の隣で本を読んでいたリューが顔を上げた。

「行かない。僕、ハリー殿に対して懐かしいとか久しぶりとかそういった感情全くないんだよね。僕、身体が弱かったからハリー殿に揶揄われたこともあるし、子供ながらに傷ついたんだよね。姉様が仲良くしていたから話をしたことがある。くらいにしか思ってない。姉様が行かないのに僕が行くわけないよ」

 え! 知らなかった! ハリーめ! いたいけな弟になんて事を……

「……知らなかったわ。ごめん」

 がばっとリューに抱きついた。

「ばか! 離れろ!」

 更にぎゅうっと抱きしめた。ぐいぐいと引き離そうとするけれど、リューはなんだかんだと加減している。

「仲の良い姉弟に育ってくれて嬉しいわ。それと無理強いするつもりはないから断っておくわね。ハリーも子供だったし(多分)悪気は無かったのよ、きっと」


「昔のことだし、今は元気になったからもう気にしてない。ただ好き好んで仲よくしようとは思わないだけ。それと良い加減に離れてくれる? 暑苦しいからっ!」

 ぺちんと頭を叩かれた。酷い……食事は両親だけが行くことになった。


 食事会は行かないけれどその日は出掛けることにした。リューが本屋へ行きたいと言ってたし先生も新刊が出るから本屋へ行く用事があるって言ったから。

「本屋さんの後はカフェに行こうよ!」

「お嬢様はほんっと良く食べますよね……」
「食べないと大きくなれないもの」

 おばぁ様はよく食べないと大きくなれないっていって、お菓子を食べさせてくれてた。その後お父様に注意されていたけれど、おばぁ様の教え通りに過ごしていたからよく食べる子になってしまった。

「栄養は食事で摂りなよ……最近ちょっと食べすぎなんじゃない? シェフも姉様が喜ぶからって何種類も作ってさ」

 はぁっ。と呆れる口調のリュー。

「お嬢様は幸せそうに食べますから与えたくなるんですよ。サツマイモを使ったスイーツなんですがそろそろお出ししても良いくらいですよ」


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