初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました

オフィーリアは変わらない

~ジルベルト視点~

 僕がメガネをかけていても、かけていなくても、僕だって分かるのか。僕の顔がカッコいい? 初めて言われた。

 “キレイな顔”
 “お母様にそっくりね”
 “女の子みたい”

 王都では貴族らしさを求められるからキレイに着飾っていると“男女”と言われ幼心に傷ついた。

 領地ではシャツにパンツというラフな格好で過ごせるし、領民と共に町を良くしようと貴族としての振る舞いをしなくてもいいから楽だった。

 母は花が好きで町が花でいっぱいになる事を望んでいた。花を育てる余裕がない領民もいるけれど心は豊かになると言った。
 父は町がキレイだと犯罪も減る。と言った。母はよく町に行き領民と会話をしたし、教会に顔を出したり、自ら花を植えたりしていた。そんな母を領民達も慕っていた。


 ある日母が乗った馬車が事故に遭い呆気なく亡くなった。一時間前までは元気だったのに……それから家の中は暗くて母の死に向き合う事も出来なかった。喪に服しているといえば聞こえが良いけど何にもする気が起きなかった。邸にいて父といても辛いだけだし、外に出てみた。すると領民達は朝早くから仕事へ行く前に花の世話をしていた。


「坊ちゃんおはようございます。ほら奥様が植えてくださった花がキレイに咲きましたよ。種を取って来年もキレイに咲かせましょう」

< 66 / 175 >

この作品をシェア

pagetop