初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「そうよ。ジルがダメなら……そうよ、お兄様なんかどう? オフィーリアは素直だしお兄様の腹黒いところが柔和されるのではなくて? オフィーリアと姉妹になれるならそれでもいいかも! お兄様に婚約者はいないし」

「……それ、勝ち目ないから。応援してくれるのはありがたいけれど、少し放っておいてほしい」

「ジルはずっとその姿でいるつもり?」

「オフィーリアはお前の顔を見て美人だとか言わないだろう。そもそも容姿を気にするなら、こんな変なメガネかけているやつと友達になんてならない」

「……そうよね。変だものそのメガネ」

 好き放題言われているが、僕のことを思って言ってくれているのだろう。二人の言う通りオフィーリアに顔を見せても問題はなかった。逆にカッコいいと言われ嬉しすぎて恥ずかしくなったくらいだ。


 ダンスパーティーだからオフィーリアを誘ってダンスを踊った。オフィーリアはダンスが上手かった。

「オフィーリア、ダンスが上手くて驚いた」

 一曲終えた後に感想を言った。

「リュー、あ、弟なんですけど、弟と先生相手に練習してきました。体を動かすので食べすぎても大目に見てくれるんですよ!」

「オフィーリアらしい答えだった。後でスイーツコーナーに行こうか?」

「はい、やった!」

 喜ぶオフィーリアを見ていると僕もつい笑顔になる。


「ジルベルト様は笑った顔はあの時と変わりませんね」
「まさか覚えてくれているとは思わなかった」

 まだまだ話がしたいと思っていたら邪魔が入った。ルシアンめ!


「オフィーリア僕とも踊ってくれないか?」
「ルシアン様と? フローリア様はよろしいのですか?」
「私もジルと踊ってきますね」


 という事で交代することになった。


「ジル、良い感じじゃなくて? オフィーリアと何を話たの?」
「大した事じゃないけれど……」
「もしオフィーリアがダンスに誘われたらちゃんと断りなさいよ?」
「オフィーリアが踊りたい相手がいるなら勝手に断れないよ。意見を聞いてからにする」
「……そうよね。まだ婚約をしているわけでも付き合っているわけでもないものね。勝手な真似は良くないけれど私達もいるからね」
「あぁ、心強いよ」
「ジルってダンスが上手いのね。驚いたわ」
「……練習したから」
「誰と?」
「……執事」





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