初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました

慣れとは怖いものです

「リア、おはよっ」
「スザンナおはよう。一緒に教室まで行こ」
「うん。そう思って声をかけたの。週末のパーティー楽しかったね。リアはあんまり踊っていないみたいだったけど、どうかしたの?」

 スザンナは婚約者と楽しそうにダンスをしていた。

「実はね、床が濡れていて転びそうになったの。ルシアン様に助けてもらって大丈夫だったんだけど、念のためダンスはやめたの」
「そういう事ね。ソレイユ子息と抱き合っていたって聞いてびっくりしちゃったわ」
「ないわよ。何それ!」
「だよね!」

 くすくすと笑っていたら本人登場。

「オフィーリアおはよう」
「ルシアン様おはようございます」
「っ。おはようございます」

 スザンナも挨拶をした。

「おはよう。オフィーリアの友達?」
「はい。幼い頃からの友達です。クラスも同じなんですよ」
「スザンナ・アーロンと申します」
「僕はルシアン・ソレイユ。朝から楽しそうだったけどなんの話をしてたんだい?」

「スザンナから聞いたんですけど、私とルシアン様がダンスパーティーの時に抱き合っていたって噂があるみたいで、」
「あぁ、滑った時の? 噂になってるのか? あんな一瞬だぞ……暇なんだな、みんな」

 苦笑いをするルシアン様。気にしてなさそうでよかった。


「ですね! スザンナそういう事だから安心して」
「ふふっ。信じてないから大丈夫よ」

「変な噂になったら僕がなんとかするから問題ない、じゃあなランチでまた」
「はい」

 フローリア様、こんなバカみたいな噂を聞いて胸を痛めないかしら……

「すっかり仲良くなっているのね。学年一位で侯爵家子息で有名なソレイユ様と!」
「慣れって怖いわ……」
「意外と気さくな方なんだね」
「どうなんだろう。友達になる前のルシアン様を知らないからなんともいえないわ」

「……ねぇ、リアと一緒にいたのってロワール子息だよね?」
「うん」
「あの変なメガネをかけてた?」
「そうだよ」
「なんでメガネを?」

 ……うーん。それは言ってはいけないわよね。ジルベルト様のプライバシーに関わる事だし。

「……なんでだろうね?」

 質問に答えられなかった。

 

「他人の目が気になるからだよ。おはようオフィーリア」
「……ジルベルト様っ!」
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