初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「ごめん。声を掛けようと思っていたら話の内容が聞こえたから。別に隠す必要はないよ。自意識過剰になるのも良くないから外したんだ。オフィーリアの友達だよね? 他に聞きたい事ある?」

「いえ、あ! リアとの関係は……」
「関係……今のところは友人? それと共同でレシピを提出する関係だよね?」

 ジルベルト様に微笑まれた。朝から笑顔が眩しい……

「……はい」
「そうなんですね。サツマイモ関係……リアのことよろしくお願いします」
「こちらこそ。オフィーリア、昼は教室まで迎えに行くから待っていてくれ。じゃぁ」
 

「……ロワール子息って綺麗な顔してるんだね」
「うん」
「緊張したわ」
「うん」
「フェロウズ令嬢やソレイユ子息は大丈夫なのにロワール子息には反応しちゃうのね」
「……うん」
「そうなんだ! ふふっ」

 はぁ、動悸が激しい……

 午前の授業が終わり、片付けていると廊下の外が騒がしい……ふと目をやるとジルベルト様が立っていた。

「オフィーリア、持っていくものはこれだけ?」
 
 教室に入るなりお弁当のバッグを指差すジルベルト様。

「はい、そうです」

 答えると私のバッグを手に取った。

「ついでだから持つよ。行こうか」
「自分で持ちますよ、」
「良いから行こう」

 にこりと微笑まれそれ以上は言えなかった。

「すみません。荷物持ちをさせてしまって」
「これくらい問題ないよ。それよりその敬語やめない? オフィーリアは僕がメガネを外したら壁が取れたと言ったけれど、敬語で話されると壁があるように感じてしまう」

「あ、そんなつもりはなくて……でも、うん。そうだね。努力する」
「努力するような事じゃないと思うけど」

 そうだけど緊張するのはどうしてだろう。

「思ったより早かったな。ゆっくりでも良かったんだぞ」
「急いで来たんだよ。ジロジロ顔を見られるの嫌なものだ」

 そうだよね、気をつけよう。なるべくジルベルト様を見ないようにしよう。隣に座っているから顔を合わせないで済むから前を見て食事をした。ジルベルト様と話をする時もなるべく顔を見ないように気をつけた。

「オフィーリア、食欲がないんじゃないか?」

 普通に食べている。フローリア様よりも食べていると思うんだけど? ジルベルト様から見たら私そんなに大食いなのかしら! ちょっとショック。

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