初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「……あはははは……いいえ全く。わたくしまだ学生ですもの」
乾いた笑いで誤魔化す。この子息は二十二歳? なんでこの歳まで独り身なんだろ。
「私もそろそろ身を固めようと思っていたところなんだ。卒業まであと三年待ってあげるから、嫁に来るかい? 一生キレイなドレスで着飾れる生活を約束しよう」
待ってあげるって……何? この子息ちょっとヤダ。
「……ドレスには興味がありませんので、どうか他の方を」
「興味がない? あぁ、そうか! ドレスを着なくても自信があるってことかい?! それは良いね。他にも候補はいるんだが君はいいね」
ドレスを着なくても……って何? 変態さん? 無理だ……
「生まれたままの姿で宝石だけを身に纏う。うん、実に芸術的だ!」
……変態だ! 絶対変態!!
鳥肌が立ってきた。なんとかしてお母様と合流しなきゃ……
よし。逃げよう! とキョロキョロ視線を、
「オフィーリア様~オフィーリア様~」
お母様のメイドアリサの声。とにかく助けが来たという事で、返事する!
「はーい! はい、はい! ここよ」
手を振って存在をアピールをした。
「奥様がお呼びです。至急お邸に戻る事になりました」
……何かあったのかしら? でもナイスタイミング!
「オフィーリア嬢! 近いうちにまた会おう。その時は婚約についての契約を、」
「ごめんなさい。他の方にお譲りしますわ。今日はありがとうございました。さようなら」
返事を待たずに去った。こんな失礼な小娘嫌でしょう?!
「ちょ、ちょっと! 待ってくれ」
はぁ、はぁ……よし、追っ手は? いない。息を整える。
「お母様、どうかしたの?」
「急に手紙を貰って……とにかく帰りましょう」
何があったか分からないけれど家路へと急ぐ。
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急いで家に帰る。
「あれ? ステファン様? ここ私の家ですよね? 今日はお休みでボートに乗るのでは?」
ハテナがいっぱい浮かんだ。
「そうだね。だから迎えに来たんだ。断れない茶会があるのなら私に相談してくれればよかったんだよ。夫人もです」
ステファンがなぜか家に居て、家でお茶を優雅に飲んでいる。不思議な光景……