白い嘘と黒い真実
第10話.白と黒
……ああ、恥ずかしい。
私、昨日なんで澤村さんにあんな事を言ってしまったんだろう。
“守って欲しい”だなんて。
なんて……。
なんて、図々しいっ!!!!
あれだけ澤村さんに気をつけろと心配されたのに、反発した挙げ句守れって……。
これじゃあ聞き分けのない身勝手な女だと思われても可笑しくない。
今思えばあの時かなり呆れていたし、これは完全に嫌われてしまったかもしれない。
…………でも、そんな私の我儘を跳ね除けなかったのは凄く嬉しかった。
それに、怒っているわけでもなかったし、寧ろあの後澤村さんの雰囲気が少し柔らかくなったような気がするし……。
これでいいのか悪いのかよく分からないけど、とりあえず、良いということにして。
これからは高坂部長とは付かず離れずの距離を保っていくつもりではあるけど……。
それにしても、昨日はやけに澤村さんに対して当たりが強かったような気がする。
しかも、紗耶のいる前で。
あんなあからさまな態度じゃ、紗耶に勘付かれてもおかしくないかもしれないのに。
勿論高坂部長の気持ちに応えるつもりはないけど、何だか変な罪悪感に苛まれ、とても後味が悪い。
「真子、おはよう」
「は、はい!?…………あ。お、おはよう紗耶」
すると、考えに没頭しながら制服に着替えていると、突然背後から声を掛けられ、不意をつかれた私は思いっきり肩が跳ね上がる。
それから、声の主を確認した後、笑顔が不自然だなと自覚しながらも、私は精一杯の明るい表情をつくってみせた。
「あのさ。澤村さんと付き合ってるってどういうこと?」
そして、一先ず昨日一緒に届出をしてくれた事に対してお礼を言おうとしたら、間髪入れず、まるでカツアゲでもしているかの如く。私の直ぐ脇で勢い良くロッカーに片手を付き、鋭い眼差しを向けながら距離を詰めてくる紗耶。
「……あ。そ、そういえば、紗耶にはまだ話してなかったよね」
高坂部長のせいでその事がすっかりと頭から抜け落ちてしまっていたことに気付いた私は、冷や汗を垂らしながらとりあえず事の次第を説明した。
「なんだ、そういうこと。びっくりしたー。なんか澤村さんガチな雰囲気だったから、いつの間にそんな関係になったのかと思った」
とりあえず、私の説明に納得してくれた紗耶はロッカーから手を離すと、小さくため息を吐き、私を解放してくれた。
「話すタイミング逃してごめん。そういうことだから、私と澤村さんは今まで通りただの隣人同士だよ」
本当はその先を望んでいたけど、結局澤村さんは私の気持ちを受け止めてくれなかった。
だから、はっきりフラれたわけではないけど、それに近い形となってしまったことに胸の奥がズキズキと痛み出す。
私、昨日なんで澤村さんにあんな事を言ってしまったんだろう。
“守って欲しい”だなんて。
なんて……。
なんて、図々しいっ!!!!
あれだけ澤村さんに気をつけろと心配されたのに、反発した挙げ句守れって……。
これじゃあ聞き分けのない身勝手な女だと思われても可笑しくない。
今思えばあの時かなり呆れていたし、これは完全に嫌われてしまったかもしれない。
…………でも、そんな私の我儘を跳ね除けなかったのは凄く嬉しかった。
それに、怒っているわけでもなかったし、寧ろあの後澤村さんの雰囲気が少し柔らかくなったような気がするし……。
これでいいのか悪いのかよく分からないけど、とりあえず、良いということにして。
これからは高坂部長とは付かず離れずの距離を保っていくつもりではあるけど……。
それにしても、昨日はやけに澤村さんに対して当たりが強かったような気がする。
しかも、紗耶のいる前で。
あんなあからさまな態度じゃ、紗耶に勘付かれてもおかしくないかもしれないのに。
勿論高坂部長の気持ちに応えるつもりはないけど、何だか変な罪悪感に苛まれ、とても後味が悪い。
「真子、おはよう」
「は、はい!?…………あ。お、おはよう紗耶」
すると、考えに没頭しながら制服に着替えていると、突然背後から声を掛けられ、不意をつかれた私は思いっきり肩が跳ね上がる。
それから、声の主を確認した後、笑顔が不自然だなと自覚しながらも、私は精一杯の明るい表情をつくってみせた。
「あのさ。澤村さんと付き合ってるってどういうこと?」
そして、一先ず昨日一緒に届出をしてくれた事に対してお礼を言おうとしたら、間髪入れず、まるでカツアゲでもしているかの如く。私の直ぐ脇で勢い良くロッカーに片手を付き、鋭い眼差しを向けながら距離を詰めてくる紗耶。
「……あ。そ、そういえば、紗耶にはまだ話してなかったよね」
高坂部長のせいでその事がすっかりと頭から抜け落ちてしまっていたことに気付いた私は、冷や汗を垂らしながらとりあえず事の次第を説明した。
「なんだ、そういうこと。びっくりしたー。なんか澤村さんガチな雰囲気だったから、いつの間にそんな関係になったのかと思った」
とりあえず、私の説明に納得してくれた紗耶はロッカーから手を離すと、小さくため息を吐き、私を解放してくれた。
「話すタイミング逃してごめん。そういうことだから、私と澤村さんは今まで通りただの隣人同士だよ」
本当はその先を望んでいたけど、結局澤村さんは私の気持ちを受け止めてくれなかった。
だから、はっきりフラれたわけではないけど、それに近い形となってしまったことに胸の奥がズキズキと痛み出す。