白い嘘と黒い真実
「さ、紗耶？何を言って……」

いくら親友と言えでも、まるで仇を見るような眼差しを向けられてしまったら、流石の私も怖気付いてしまい冷や汗を垂らしながら数歩交代する。



＿＿その次の瞬間。


「きゃっ！」

不意に紗耶に勢いよく両肩を押され、バランスを崩した私は咄嗟に体勢を維持するために近くの枝を掴む。

しかし、私の体を支えるにはあまりにも細く、呆気なく枝は折れてしまい、掴むものが何もなくなった体は更に後ろへと倒れる。


「……え？」

これはデジャブだろうか。

体が外に放り出される感覚が蘇ってくる。

というか、忘れたくても忘れられない。

それ程にトラウマとなって、体に刻み込まれているから。

そして、もう二度と味わうことはないと、そう思っていたのに。


「きゃああああ！」

支えがなくなった重い体が、地面を離れ下へ下へと落ちる。

まさか、人生で二度も崖から転落するなんて一体誰が想像しただろうか。


真面目に生きていたつもりなのに。

ひたすらに、人を信じて、己を信じてここまでやってきたのに。


これが、全ての結末なのだろうか。


紗耶には幸せになって欲しい。


ただ、それだけだったのに……。


どこで私はやり方を間違ってしまったのだろうか。

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