白い嘘と黒い真実
“それって、つまり私の告白を受け入れてくれるってことでいいんですか?”
そう確かめたかったのに、またもや中途半端に強制終了されてしまい、折角萎んでいた期待が再び花開こうとしていたのに、それが叶わぬまま陽は過ぎ去っていってしまった。
何だろうこの翻弄されている感じ。
わざとじゃないのはよく分かるけど、両思いなのか、はたまた独り善がりなのか。
どっちに重きを置けばいいのか悩まされる状況に、澤村さんが立ち去った後も私は未だ茫然としながら玄関で立ち尽くす。
でも、どっちに置いても彼は私を見捨てることはしない。
それがはっきりと分かっただけでも今は十分だった。
その先のことは、これからじっくりと確かめていけばいい。
恋人になれれば勿論嬉しいけど、この揺れ動く曖昧さだって悪くはない。
それに彼が隣人である限り、焦る必要なんて何もないから。
高鳴る鼓動を落ち着かせるため、私はそう自分に言い聞かせながらゆっくりと息を吐く。
そして、気付けば不安と恐怖が洗い流され、ようやく心安やらかに眠れる夜が迎えられそうな気がして。そう思うと、その安心感から自然と頬が緩んでいったのだった。