白い嘘と黒い真実
◇◇◇
「昨日のドラマ、結局見逃しちゃったね」
「再配信あるからいいでしょ。特捜班から解除されたし、何もなければ今度の土曜日は久しぶりに休めるから、その時一緒に観よう」
それからゆったりとした時間が流れる中、出来上がった朝食をつまみながら、私は彼との会話を思う存分満喫する。
その時、そんな穏やかな一時を邪魔するように、突然けたたましく鳴り始める聖君の携帯。
テーブル脇に置いてあるスマホの画面を見ると、そこには警察署の名前が表示されていて、向かいから聖君の深い溜息が聞こえてきた。
「…………はい。……分かりました。人数は?…………そうですか。では、すぐ向かいます」
そして、程なくしてから聖君は通話を終了させると、険しい顔付きで二度目の深い溜息を吐く。
「何かあったの?」
彼の表情から察する限り、何だか只事ではないような気がして、私は不安気に尋ねる。
「いや、大したことじゃないよ。振り込め詐欺グループをまとめて検挙したらしいから、これから調べの応援に行って来る」
それは十分大したことなのではなかろうかと。
即座に返答してきた彼の話に内心突っ込みを入れながらも、強制的に聖君との一時が途切れてしまい、密かに項垂れる。
けど、これが彼の日常であり、警察官と付き合うには受け止めなければいけない試練だと。
そう自分に強く言い聞かせながら、私は急いで支度する彼を静かに見守る。
「もしかしたら、今日は帰りが遅くなるかもしれないから、先に寝てて」
「分かった。一応ご飯作って待ってるから、お仕事頑張ってね」
それから玄関先まで向かうと、まるで新婚にでもなったような気分に浸りながら笑顔で見送る。
すると、突然彼の手が私の頬に伸びてくると、不意打ちの如く触れる程度の軽いキスをされ、反射的に全身が熱を帯び始めていく。
「それじゃあ、行ってきます」
一方で、全く照れる素振りを見せることなく、聖君はやんわりと微笑んでから玄関の扉を開ける。
「いってらっしゃい」
私も未だ体の熱が冷めない中、とりあえずしっかり見送ろうと。徐々に心を支配していく愛情に酔いしれながら、満面の笑みで彼に手を振った。
「昨日のドラマ、結局見逃しちゃったね」
「再配信あるからいいでしょ。特捜班から解除されたし、何もなければ今度の土曜日は久しぶりに休めるから、その時一緒に観よう」
それからゆったりとした時間が流れる中、出来上がった朝食をつまみながら、私は彼との会話を思う存分満喫する。
その時、そんな穏やかな一時を邪魔するように、突然けたたましく鳴り始める聖君の携帯。
テーブル脇に置いてあるスマホの画面を見ると、そこには警察署の名前が表示されていて、向かいから聖君の深い溜息が聞こえてきた。
「…………はい。……分かりました。人数は?…………そうですか。では、すぐ向かいます」
そして、程なくしてから聖君は通話を終了させると、険しい顔付きで二度目の深い溜息を吐く。
「何かあったの?」
彼の表情から察する限り、何だか只事ではないような気がして、私は不安気に尋ねる。
「いや、大したことじゃないよ。振り込め詐欺グループをまとめて検挙したらしいから、これから調べの応援に行って来る」
それは十分大したことなのではなかろうかと。
即座に返答してきた彼の話に内心突っ込みを入れながらも、強制的に聖君との一時が途切れてしまい、密かに項垂れる。
けど、これが彼の日常であり、警察官と付き合うには受け止めなければいけない試練だと。
そう自分に強く言い聞かせながら、私は急いで支度する彼を静かに見守る。
「もしかしたら、今日は帰りが遅くなるかもしれないから、先に寝てて」
「分かった。一応ご飯作って待ってるから、お仕事頑張ってね」
それから玄関先まで向かうと、まるで新婚にでもなったような気分に浸りながら笑顔で見送る。
すると、突然彼の手が私の頬に伸びてくると、不意打ちの如く触れる程度の軽いキスをされ、反射的に全身が熱を帯び始めていく。
「それじゃあ、行ってきます」
一方で、全く照れる素振りを見せることなく、聖君はやんわりと微笑んでから玄関の扉を開ける。
「いってらっしゃい」
私も未だ体の熱が冷めない中、とりあえずしっかり見送ろうと。徐々に心を支配していく愛情に酔いしれながら、満面の笑みで彼に手を振った。