白い嘘と黒い真実




「……それで部長と超久しぶりに会話出来たんだよ!本当係長には感謝だよねー」

午前の部が終わり、今日は珍しく外ランチをするため紗耶と近くのイタリアンに向かう道中、私は今朝の出来事を早速彼女に報告した。

「良かったじゃん。……けど、部長はなんであんな所で電話してたんだろ……。プライベートの話だとしても、わざわざそんな場所でしなくてもいいよね?」

浮かれる私とは裏腹に、何やら神妙な顔付きで顎に手をあてる紗耶の様子に、私はきょとんと目を丸くする。

「……さあ?何だろう。もしかして、誰にも聞かれたくない内容だったのかな?」

確かにあの時も疑問に感じていたけど、特に気に留めることもないかと思って深くは考えなかった。
しかし、よくよく考えてみると、あの場所を選んだという事はそれぐらいしか思いつかない。

「ねえ、真子。部長が話してた事覚えてる?あと、メモに書いてあった内容も」

すると、紗耶は深刻な表情で更に踏み込んだ質問をしてきて、何やらそこから鬼気迫るものを感じた私は一瞬たじろいでしまう。

「ごめん、話してた内容は覚えてない。メモには確か何処かの住所と、待ち合わせ時間みたいなのが書いてあったよ」

それから、とりあえず今朝の記憶を掘り起こして答えると、紗耶はまたもや何か考え込むように突然黙ってしまった。

「紗耶どうしたの?部長のことがそんなに気になる?」

いつもなら浮ついた話なんて殆ど乗ってこないのに、何故こんなにも食い付いてくるのか分からず、私は首を傾げる。

「……あ、いや……。ただの興味本位」

私の質問に対して紗耶は一瞬言葉を詰まらせていたけど、直ぐさま険しい表情を緩ませて、何事もなかったように微笑んできた。

そんな彼女の反応に益々疑問を感じた私は、ふとある考えが浮かぶ。

「もしかして、紗耶って部長のこと好きなの?」

「えっ!?」

それから、半ば冗談で言ったつもりなのに、かなり驚いた顔をされてしまい、そこで私の疑問は確信へと変わった。
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