白い嘘と黒い真実
ですよね、そんな反応しますよね。
私だって運命感じちゃうくらい衝撃的だったんですだから。
こうなる事は既に予想していたので、私は構うことなく、そのまま話を続けることにした。
「あの時、ずっと澤村さんが来るのを信じて待ってたんです。そしたら、本当に助けに来てくれて。だから、信じることを教えてくれたのはあなたなので責任とって下さい」
我ながら支離滅裂な事を言っている気がするけど、これが事実なので、私は胸を張ってきっぱりとそう断言する。
「随分身勝手な言い分ですね」
それから、暫しの間沈黙が流れた後、ようやく口を開いてくれた澤村さんから出た核心的な一言が、私の胸をぐさりと突き刺してきた。
「椎名さんのことは全然記憶にないので、そう言われても困ります」
しかも、至極真っ当な答えに手も足も出ず言葉に詰まってしまう。
かくいう私だって、あの時の少年が澤村さんだと言われても、全く顔を覚えていないので未だピンときていないところはある。
彼の言う通り、お互い殆ど記憶がないのに昔話を持ち出した上、こんな押し付けがましい主張をするのは勝手極まりない自覚はあるので、私はこれ以上何も言うことが出来なくなってしまった。
「そうですよね。色々助けて頂いているのに変なこと言ってすみません。とりあえず、その節はお世話になりました。あと、こんな早朝から訪ねてしまって申し訳ないです」
ひとまず、本来の目的は澤村さんに謝罪をする為にここへ来たので、本題に戻してから再度深々と頭を下げ、この場をさっさと離れようと踵を返す。
「……記憶は全くないですが、過去の俺があなたをそうさせたのだとしたら、謝ります」
すると、ポツリと呟いた澤村さんの言葉が私の耳に届き、振り返ると、そこには少し物悲しそうな表情でこちらを見てくる彼と視線がかち合う。
「すみませんでした」
そして、一言そう告げると、そのまま扉を静かに閉めて澤村さんは部屋の中へと戻ってしまったのだった。
なんだろう。
そんな言葉が聞きたかったわけじゃないのに。
もっとキラキラしたものを想像していたのに。
少女漫画とかでは、こういう展開って恋愛に発展したりとかするんじゃないの?
澤村さんはまるで私と出会ったことを後悔しているような表情だった。
彼にとって、それ程までに私のような人間はいけないことなのだろうか。
けど、それが人の価値観であるなら、どうしようもない。
それによって私を受け入れられないなら、その事実を真摯に受け止めるしかない。
あわよくば仲良くなれたらいいなと。そんな虫のいい話に期待していた私がバカだったんだ……。
自分の部屋まで戻り、扉を閉めた途端思わず大きな溜息が漏れる。
単純に友好的なご近所付き合いが出来ればとしか思っていなかったはずなのに、それが実現出来ないことに対して何故こんなにもショックを受けているのだろう。
もしかして、無意識のうちに私は彼に対してそれ以上の関係を求めていたのだろうか。
例えば、付き合えるかも……とか?
「…………あー、私ってば貪欲過ぎ!それこそ澤村さんに超失礼じゃんっ!!」
我ながら自分のお気楽な脳みそがつくづく嫌になり、このまま家にいるとまた変なことを考えてしまいそうになるので、今日は一日出掛けることに決めた。
私だって運命感じちゃうくらい衝撃的だったんですだから。
こうなる事は既に予想していたので、私は構うことなく、そのまま話を続けることにした。
「あの時、ずっと澤村さんが来るのを信じて待ってたんです。そしたら、本当に助けに来てくれて。だから、信じることを教えてくれたのはあなたなので責任とって下さい」
我ながら支離滅裂な事を言っている気がするけど、これが事実なので、私は胸を張ってきっぱりとそう断言する。
「随分身勝手な言い分ですね」
それから、暫しの間沈黙が流れた後、ようやく口を開いてくれた澤村さんから出た核心的な一言が、私の胸をぐさりと突き刺してきた。
「椎名さんのことは全然記憶にないので、そう言われても困ります」
しかも、至極真っ当な答えに手も足も出ず言葉に詰まってしまう。
かくいう私だって、あの時の少年が澤村さんだと言われても、全く顔を覚えていないので未だピンときていないところはある。
彼の言う通り、お互い殆ど記憶がないのに昔話を持ち出した上、こんな押し付けがましい主張をするのは勝手極まりない自覚はあるので、私はこれ以上何も言うことが出来なくなってしまった。
「そうですよね。色々助けて頂いているのに変なこと言ってすみません。とりあえず、その節はお世話になりました。あと、こんな早朝から訪ねてしまって申し訳ないです」
ひとまず、本来の目的は澤村さんに謝罪をする為にここへ来たので、本題に戻してから再度深々と頭を下げ、この場をさっさと離れようと踵を返す。
「……記憶は全くないですが、過去の俺があなたをそうさせたのだとしたら、謝ります」
すると、ポツリと呟いた澤村さんの言葉が私の耳に届き、振り返ると、そこには少し物悲しそうな表情でこちらを見てくる彼と視線がかち合う。
「すみませんでした」
そして、一言そう告げると、そのまま扉を静かに閉めて澤村さんは部屋の中へと戻ってしまったのだった。
なんだろう。
そんな言葉が聞きたかったわけじゃないのに。
もっとキラキラしたものを想像していたのに。
少女漫画とかでは、こういう展開って恋愛に発展したりとかするんじゃないの?
澤村さんはまるで私と出会ったことを後悔しているような表情だった。
彼にとって、それ程までに私のような人間はいけないことなのだろうか。
けど、それが人の価値観であるなら、どうしようもない。
それによって私を受け入れられないなら、その事実を真摯に受け止めるしかない。
あわよくば仲良くなれたらいいなと。そんな虫のいい話に期待していた私がバカだったんだ……。
自分の部屋まで戻り、扉を閉めた途端思わず大きな溜息が漏れる。
単純に友好的なご近所付き合いが出来ればとしか思っていなかったはずなのに、それが実現出来ないことに対して何故こんなにもショックを受けているのだろう。
もしかして、無意識のうちに私は彼に対してそれ以上の関係を求めていたのだろうか。
例えば、付き合えるかも……とか?
「…………あー、私ってば貪欲過ぎ!それこそ澤村さんに超失礼じゃんっ!!」
我ながら自分のお気楽な脳みそがつくづく嫌になり、このまま家にいるとまた変なことを考えてしまいそうになるので、今日は一日出掛けることに決めた。