白い嘘と黒い真実
「確かに、何でもかんでもは止めて欲しいですけど、基は変えなくても良いんじゃないですか。それがあなたの長所でもあるんですから」

すると、これまでずっと否定的な言葉しか聞いてこなかったのに、突然肯定された事に私は面をくらった。

「何だかんだ言っても、俺はあなたのように光を見れる人が羨ましいです。きっとあいつも心の奥底ではそう思ってるんじゃないですかね?」

そして、最後にはとても暖かくて優しい言葉を穏やかな笑顔と一緒に送ってくれて、私の心にじんわりと染み込んでくる。

「そ……、そうだと嬉しいのですが……」

凄く恥ずかしくはあるけど、澤村さんと仲が良さそうなこの人が言うのなら、信じてもいいかなと。早くも持ち前の性格が表れてしまったけど、それが少しだけ自信へと繋がっていくようにも思え、何だか嬉しい気持ちになる。

それから程なくして、出来上がった書類にサインをしてから控えを貰い、私は警察官の人に別れを告げて交番を後にする。


“光を見れる人が羨ましい”

初めて人からそんな事を言われた気がする。
大人になってから、信じる事がマイナスに繋がる事が多かったけど、あの人の言葉からは“信じる”自体は希望の象徴だと。そんな意味にも聞こえてきて胸の中が熱くなっていく。

無理に変えようとしなくても、私は私らしくしていけばいい。

そう背中を押されたようで、私は暫く感無量になりながら、真っ赤な空を見上げたのだった。

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