白い嘘と黒い真実
それから午前中の業務が終わり、午後の業務が始まってから刻々と時間が過ぎていく度に、段々と集中力が散漫になってしまう。
今日の待ち合わせは六時からで、お店はここから歩いて十分ちょっとの場所。
だから、定時で終わって行ってもまだ時間に余裕があるので急がなくても平気だけど、気持ち的に余裕が全くない。
とりあえず、ミスを起こして余計なロスタイムを作らないように、いつもより慎重に作業をしてから、ついに迎えた終業時刻。
紗耶も無事に残業なく業務が終わった為、私達はトイレで軽く化粧直しをして、身なりを整えて少し時間調整をしてから職場を後にした。
「……あー、めっちゃ緊張してきた。紗耶、上手く喋れなかったらフォローよろしく」
地図アプリを見ながらお店までの道中、目的地までの距離が縮むにつれ、私の鼓動も徐々に早さを増していく。
「いや。私もう一人の人は初見だし、澤村さんとは真子を部屋に運んだ時しか喋ったことないからね」
……確かに。
いざという時のSOSとして頼りにしていたけど、よくよく考えてみれば紗耶は澤村さん達との接点なんてほぼないに等しいし、積極的に喋る方ではないので私より会話が難しいかもしれない。
でも、一人よりは居てくれた方が断然心強いし、もう一人の田中さんもよく喋りそうなタイプだったので、おそらく大丈夫だろうと。そう自分に言い聞かせながら歩いていると、あっという間に目的地に到着した。
選んでくれたお店は警察署員の間で評判だという焼き鳥屋さん。
どうやら署が出来る前からずっとある老舗のようで、肉が大きくて美味しい上にコスパがめちゃくちゃ良いのだとか。
外見はかなり年季が入っていて、サラリーマンのお父さんが好みそうな、路地にあるこぢんまりとした居酒屋さん。
中に入れば店内もそこまで広くなく、手前にカウンター席があり、奥にお座敷が数部屋あるのみ。
そして、壁一面には色褪せた手書きのメニュー表が隙間なく貼ってあり、テーブルも椅子もくたびれていて時代を感じる。店内には既に出来上がっている年配のお客さんの笑い声が響いていたりと。
せっかく気合を入れてお洒落してきたというのに、全くもって場違いな格好になってしまったと後になって気付き、お店の雰囲気も考慮しておけば良かったと激しく後悔する。
とりあえず、見た限りだとまだ澤村さん達は到着してなさそうなので、私達は店員さんに予約者の名前を告げて、先に席へと案内してもらうことにした。
今日の待ち合わせは六時からで、お店はここから歩いて十分ちょっとの場所。
だから、定時で終わって行ってもまだ時間に余裕があるので急がなくても平気だけど、気持ち的に余裕が全くない。
とりあえず、ミスを起こして余計なロスタイムを作らないように、いつもより慎重に作業をしてから、ついに迎えた終業時刻。
紗耶も無事に残業なく業務が終わった為、私達はトイレで軽く化粧直しをして、身なりを整えて少し時間調整をしてから職場を後にした。
「……あー、めっちゃ緊張してきた。紗耶、上手く喋れなかったらフォローよろしく」
地図アプリを見ながらお店までの道中、目的地までの距離が縮むにつれ、私の鼓動も徐々に早さを増していく。
「いや。私もう一人の人は初見だし、澤村さんとは真子を部屋に運んだ時しか喋ったことないからね」
……確かに。
いざという時のSOSとして頼りにしていたけど、よくよく考えてみれば紗耶は澤村さん達との接点なんてほぼないに等しいし、積極的に喋る方ではないので私より会話が難しいかもしれない。
でも、一人よりは居てくれた方が断然心強いし、もう一人の田中さんもよく喋りそうなタイプだったので、おそらく大丈夫だろうと。そう自分に言い聞かせながら歩いていると、あっという間に目的地に到着した。
選んでくれたお店は警察署員の間で評判だという焼き鳥屋さん。
どうやら署が出来る前からずっとある老舗のようで、肉が大きくて美味しい上にコスパがめちゃくちゃ良いのだとか。
外見はかなり年季が入っていて、サラリーマンのお父さんが好みそうな、路地にあるこぢんまりとした居酒屋さん。
中に入れば店内もそこまで広くなく、手前にカウンター席があり、奥にお座敷が数部屋あるのみ。
そして、壁一面には色褪せた手書きのメニュー表が隙間なく貼ってあり、テーブルも椅子もくたびれていて時代を感じる。店内には既に出来上がっている年配のお客さんの笑い声が響いていたりと。
せっかく気合を入れてお洒落してきたというのに、全くもって場違いな格好になってしまったと後になって気付き、お店の雰囲気も考慮しておけば良かったと激しく後悔する。
とりあえず、見た限りだとまだ澤村さん達は到着してなさそうなので、私達は店員さんに予約者の名前を告げて、先に席へと案内してもらうことにした。