劣化王子(れっかおうじ)
「とりあえず落ち着こう! ね、果歩!」
「山咲! これでも飲め、ほら!」
腕を掴んできたしずちゃんと、急いで自分のカフェオレを飲ませようとしてくる鮎川。
引き留められても唇をわなわなと震えさせていたら、
「そうだ! いいこと思いついたっ!」
ツインテールは、ペンの飾りで自分の頬をプニッと押す。
そして、もう片方の手で髪の毛先をクルクルいじり、無邪気に微笑んだ。
「湯前くんはピカルンを好きになればいいんだよっ」
もう言いたい放題だった。
圧倒されているのか、ユノは何も言い返さないし……。
わたしははらわたが煮えくり返るような思いで、そんなふたりを眺めていた。