劣化王子(れっかおうじ)
それから5分後。


『3番線、電車が参ります。危ないですから黄色い線の内側にお下がりください』


ホーム全体に響くアナウンス。

ベンチに座って次の電車を待つわたしは、昨日からカバンに入れっぱなしだった1枚のエアメールを眺めていた。


「……もうやだ」


何あれ、ドン引きだよ。


「休みたい……」


気持ち悪い。

これから1年間、同じクラスだなんて……最悪だ。


◇ ◇ ◇



そのあと次の電車はすぐに来て、駅からの道でも駆け足だったから遅刻にはならなかった。

でも、朝「遅刻する」と連絡してきたしずちゃんは、昼を過ぎてもまだ学校には現れない。


「……どうしたんだろ?」

休憩時間と昼休みを別クラスにいる友達と過ごしていたわたしは、何も届かないスマホの画面を見つめ、ため息をつく。

今朝のこと聞いてほしいのになぁ……。


“今日はもう休むの?”と送信。

しばらくはそのまま彼女の反応を待っていたけど、既読の表示はつかなかった。


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