劣化王子(れっかおうじ)
第四話:わたしはダメな子ですか?
宿泊オリエンテーション2日目。
今日は山の中の休憩所を借りて、表札作りと飯ごうすいさん。
わたしたち実行委員は朝食後から塗料や木材の用意でバタバタしていた。
「デザインができたらカーボン用紙を敷き、木材に写す。ここまでできたら一度見せにくること! OKを出す際に彫刻刀を渡す。さっきも話したが彫刻刀は刃物だ! だから、絶対にふざけたりはせず……」
しつこく思ってしまうほど、先生は彫刻刀を扱う上での注意事項を並べてくる。
「果歩(かほ)ちゃん、大きなあくび」
「あー……うん。昨日なかなか眠れなくって」
「わかるー! 枕が変わると寝付けないよね!」
同部屋のマミちゃんと話しながら、向こうのテーブルにいるしずちゃんの後ろ姿を見つめる。
◇ ◇ ◇
“可哀想なのはユノくんのほう”
昨日を思い出していた。
今朝、おはようと声をかけたとき、彼女の態度はやっぱりそっけなかった。
まだ怒ってるんだろうな。
“ずっと人目を気にして文句ばっか。全然、ユノくん自身を見ようとはしないよね?”
正直に言うと、怒られているとき「なんでそこまで」と思ってしまった。
これはわたしとユノの問題で、しずちゃんがそこまで怒る理由がわからなかったの。
親友のわたしがダメダメだから? それとも、ユノのことを心配して?
でも、まぁ……。
“嫌ならハッキリそう言えばいいじゃん。言わないでわたしに愚痴るのは間違ってない?”
うんざりしていたのかも。
最近のわたしは愚痴ってばっかだったし、聞かされるほうからすればうっとうしいよね。