劣化王子(れっかおうじ)
「うん! 駅前のバーガーショップ、今日は開店してからちょうど1年の日なんだって!」
「ユノが行きたいみたいで……帰りに寄ろうかってことになってた」
指定されたハンバーガーを注文してこの券を渡せば、同じハンバーガーを2個プレゼントしてもらえる。そんな内容が書いてある。
「3つも食べれないよ」
「わたしも」
っていうか、調理実習がある日はお弁当を持ってこなくてもいいのに、ユノだけ昼休みにパンも食べてたよね? その上でハンバーガーまで食べるつもり? 3つも?
しずちゃんとわたしが困っていると、
「オレのを食えばいいんじゃね?」
鮎川はプレゼントされた2つをわたしたちにくれると言う。
「なら、わたしたちはドリンクだけを注文する形?」
「ああ。オレはハンバーガー1個でいいよ」
鮎川の提案を聞いて「それなら」と納得した様子のしずちゃん。
その隣でわたしは、嬉しそうなユノに小さくため息をついた。