Labyrinth~愛に迷う~
「ごめん、先行くね。」
昼食を先に済ませた正美はトレイを手に立ち上がった。
「私はコーヒー飲んでから行く。午後は眠いから。」
私も食器を片付けにいったん席を立った。
「じゃあ、あとでね」
手を振って正美は食堂から去っていった。
さっきまで座っていた席に戻るのはなんとなく嫌だった。そこには正美とは親しいらしい武田くんという社員がいたからだ。
武田くんは商品管理担当でまだ歳が若かった。無愛想で暗い印象。
電話の取り次ぎの際にもこちらが言い終わらないうちに言葉を遮って、いかにも迷惑そうに代わるので電話をつなぐのが嫌だった。
そんなこともあって、武田くんのことは少し苦手に思っていた。正美がいなければ近くに座ることなどなかったのだ。
席に戻ったところで会話が弾むとは思えない。だいたいさっきまで正美がいた時だってただ正美の隣で食べていただけ。
正美ともほとんど会話をしている様子はなかった。一方的に正美が武田くんに話しかけていたことに無愛想に相槌を打っていただけ。
だからといって元いた席に戻らないのもおとなげない気がして気は進まないもののコーヒーを持って元の席に戻った。
昼食を先に済ませた正美はトレイを手に立ち上がった。
「私はコーヒー飲んでから行く。午後は眠いから。」
私も食器を片付けにいったん席を立った。
「じゃあ、あとでね」
手を振って正美は食堂から去っていった。
さっきまで座っていた席に戻るのはなんとなく嫌だった。そこには正美とは親しいらしい武田くんという社員がいたからだ。
武田くんは商品管理担当でまだ歳が若かった。無愛想で暗い印象。
電話の取り次ぎの際にもこちらが言い終わらないうちに言葉を遮って、いかにも迷惑そうに代わるので電話をつなぐのが嫌だった。
そんなこともあって、武田くんのことは少し苦手に思っていた。正美がいなければ近くに座ることなどなかったのだ。
席に戻ったところで会話が弾むとは思えない。だいたいさっきまで正美がいた時だってただ正美の隣で食べていただけ。
正美ともほとんど会話をしている様子はなかった。一方的に正美が武田くんに話しかけていたことに無愛想に相槌を打っていただけ。
だからといって元いた席に戻らないのもおとなげない気がして気は進まないもののコーヒーを持って元の席に戻った。