ロマンスにあけくれる



わたしのジト目と疑惑は完璧に無視されてしまった。

この人、スルースキル異常に高い。



「……えーと、つまり、つまんなかった自覚がある、と?」

「いやそれは微塵も」

「……………、」



なんでだろう。ほんのりクズ臭がある気がする。

投げやり感が半端ないからだろうか。



「ただ、振る理由としては、つまんないが一番有力じゃないかなと」

「それ以外の候補は?」

「……連絡が遅い、とか?」

「え、そんな理由で振るかな?」

「……逆に花穂さんは気にしないんですか?」

「うん特には」



わたしの方も、連絡はかなり遅いタイプだし、そもそもスマホをあまり見ず消音にしているため、連絡には気づきづらい。



「……彼氏できない要因、それなのでは?」

「エ゛゛ッッ」



唐突な指摘に、喉の奥から引き攣った声が出た。


いやまさか。そんなはずはない。だってそれだけのことで、彼氏ができないって、ある……の、かな?



「今は些細なことで別れたり復縁したり付き合ったり結婚したりする時代だし」

「話が大きくなりすぎだしついさっき振られた人に言われると妙な説得力が……」

「あのそれ意識的に言ってます?」


< 12 / 46 >

この作品をシェア

pagetop